雪の上の虫たち

着実に積雪量が増えつつあるやまさぁーべの田んぼ。現在の積雪深は50cmぐらいでしょうか。田んぼに水を張っている場所や、池ではまだ水面が見えますね。水路が落ち葉で詰まっているのを掃除する作業のついでに生き物探し。


当然ですが、この時期にになると観察できる虫はググッと少なくなります。でも、よくよく探してみると雪上を動き回っている虫は結構いるものです。


雪上の虫さがしの定番がトビムシの仲間。1cmにも満たない小さな生き物です。昆虫のように見えますが、厳密にはちょっと違うグループの生き物。お腹の下にバネのような器官を持っていて危険を感じるとピン!と跳ねていなくなります。

イモムシの方はタケカレハというガの幼虫です。この個体の大きさは3cmほどですが、成長すると倍ぐらいになる大型の毛虫です。ススキなんかを食べるので、この雪の下のススキっ原にくらしているのでしょう。多くの毛虫は毒を持っていないので触っても大丈夫ですが、タケカレハは有毒。触るとブツブツになります。



それから、よく雪上で見かける昆虫がガガンボやハエの仲間。ガガンボはカに近い昆虫です。確かに形もよく似ています。

でも、カとハエは…というと似ても似つきませんよね?ところがどっこい、実はカとハエは親戚のようなもの。同じハエ目(双翅目;そうしもく)というグループに属する昆虫で、細かく見ていくと共通点があるのです。ちょっとマニアックですが面白いので書かせてください(笑)



下の写真はそれぞれの昆虫の翅の付け根を拡大したものです。

どちらも翅の横にマッチ棒のような形をしたものがあるのが分かりますか?これは平均棍(へいきんこん)と呼ばれる器官で、通常昆虫には4枚ある翅のうちの2枚が変化してできたものです。そう、逆に言うとハエ目(双翅目)の昆虫には、他の昆虫と違って翅が2枚しかないという特徴があるのです。それが双翅目というグループ名の語源。ちなみに、この平均棍は空を飛ぶときにバランスを取る役割があります。サーカスのパフォーマーが綱渡りの時に持っている長い棒と同じような意味合いですね。


カとハエの共通点。人間に嫌われている、というだけではないのです!

ライター:佐々木