雨の日の生きもの

本当に雨の多い春です。昨年の今ぐらいは、気温30℃を越え、山形では冬の後に春を飛ばして夏が来るんだなぁと驚いたものですが…。冬に雪が少なかったので、その分を取り戻しているかのようにも感じられます。今日はそんな雨の日の自然観察のお話。


まず見つけたのはツチグリ。こう見えてキノコの仲間です。出たての時は丸い球のような形をしていますが、雨が降るとその皮がミカンの皮を剥いたような、こんな形になります。真ん中に小さな穴が開いていますが、指でつつくと穴からポフっと粉(胞子)を吹きだします。でもいつも人間が指でつついてくれるわけではありません。本当は、雨のしずくが当たるとその力で胞子を飛ばすようになっているんです。だから雨の日に開くんですね。面白い。


お次はアケビの葉っぱです。水玉がいっぱいついていますね。こうやって水をはじくことで葉っぱが汚れにくく、効率よく光合成できるようになっています。他に水をはじくことで有名なのはハスや里芋の葉っぱなどですね。葉っぱの表面を顕微鏡でのぞくと、細かい凸凹があります。これが水をはじく秘密。応用してできたのが、撥水性のレインコートや、ご飯のくっつくかないしゃもじなど。こういう、自然を真似て製品を作ることをバイオミミクリーといいます。自然は先生ですね。



虫たちの中にも体の表面が水をはじく構造になっているものがいます。例えば写真左の虫はジョウカイボンという種類ですが、沢山水玉をくっつけています。写真を拡大(クリック)すると、翅の表面が凸凹していることが分かります。写真右はハエの仲間。毛がたくさん生えていて、やはりこれも水をはじきます。さらに、葉っぱの裏側にとまって雨宿りをしているわけです。いろんな種類の虫が、こうやって葉っぱの裏側で雨宿りをします。本当は「雨の日、チョウチョはどこにいるでしょう?」なんて質問と一緒に説明するネタなのですが…今日はチョウチョが見つかりませんでした…。虫たちはお腹の側面に気門という呼吸する穴を持っているので、水が体中にぺったりまとわりついてしまうのは命取り。いろんな工夫をしています。雨は明日も続く予報。頑張って生き延びてね~!!