鳴く虫

秋の夜長を鳴きとおす虫たちを探して夜の田んぼを歩いてみました。


まずはキリギリスの仲間3種類。順に、ハヤシノウマイ、ヤブキリ、クサキリです。ウマオイは同様「虫の声」にも出てくる昆虫ですね。スイーッチョン、スイーッチョンと鳴きます。ヤブキリは大型のキリギリス。木の上にくらしています。この2種類、足のトゲが長く鋭いのが特徴のひとつ(写真をクリックすると拡大します)。実はどちらも肉食性で、ヤブキリの方は木の上でセミをとって食べたりします。トゲは獲物を捕まえるための武器です。クサキリの方は草食性の昆虫です。



次はコオロギの仲間です。順に、エンマコオロギ、モリオカメコオロギ、カンタンです。エンマコロギは、目の上の白い線が閻魔様の眉毛のように見えて怖い顔なのが名前の由来。コロコロリーと鳴きます。オカメコオロギの方は、顔が平らにつぶれたような形をしています。リ・リ・リ!リ・リ・リ!と強く切るように鳴きます。最後の白く細い体の昆虫がカンタン。ルルルルル…と聞こえる美しい声から鳴く虫の女王と呼ばれます。



実は、コオロギの仲間の声はキリギリスの仲間に比べると低い音で、人間の耳には心地よく聞こえる周波数になっています。中でもカンタンの声は一番低い音です。コロコロ…とかリリリとラ行で音が表現されるのは音が低いためですね。

一方、キリギリスの仲間の声は、キシキシキシ…とか、カシャカシャとかサ行で表現されます。サ行は、歯擦音(しさつおん)と呼ばれ、日本語の中では最も高い音を含んでいます。余談ですが、この歯擦音が強くマイクを通ると聞き手が不快なので、ボーカリストが気を付けて歌ったり、最近は録音後に音を削るデジタル処理をするようです。キリギリスの声は人間の耳には少し不快に聞こえる周波数の様ですね。