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雪の力

・今日は少し引いた目線で冬の自然を見てみたいと思います。今年は積雪が少ないのと、ここの所、暖かい陽気が続いてることで山の雪解けが進んでいます。雪と植物の関係を見ていきたいと思います。

まずは遠目から見た山の斜面。写真中央に雪が融けて大きく土が見えている部分がありますね。この場所は傾斜が急こう配のため、土砂崩れも起きたことのある場所のようです。土砂崩れが起きた場所はそもそも土が少ないので木が生えにくいのですが、さらに毎年雪が土を削って落ちるのでなかなか栄養豊かな土にはなりません。さらに山のてっぺん。稜線のあたりに葉っぱがついている木が見えます。アカマツです。雪は融けながら土の栄養分をふもと方向に流します。必然的に山の稜線は栄養分の流入元がないので土が痩せてきます。そんな場所では痩せた土地でも育つアカマツが優占するわけです。逆に下の方に生えている葉っぱのある木は人が植えたスギ。スギは水気の多い、栄養豊かな場所でしか育たないので、山の上の方までは植えていないのですね。

林の中で、融雪は木の周りから始まります。このような状態を「根開き」と呼びます。木に当たった太陽光で木が温められたり、木から光が反射して雪を温めたりするためにこのような現象が起こります。ぽっかり空いた穴は動物たちの隠れ家にもなります。山の中を歩いていると、ここからヤマドリが飛び出してビックリすることがあります。

もう少し斜面の近くによって見てみます。下左側の写真、茶色い枯草がみんな地面に寝ています。秋には、空に向かって2mぐらい葉や茎を伸ばしていたススキです。雪国では、こうやって毎年雪に押しつぶされてぺちゃんこになります。そうすると、背の低い草にも日があたる→山菜(植物の新芽)が生えてくるわけです。山菜は雪のめぐみでもあったりします。下右側の写真は斜面の斜め下に伸びた木。雪の重みに耐えられるしなやかな幹ですが、毎年つぶされていると上には伸びず、こんな樹形になります。


最後の写真はちょっとわかりにくいですが、木の幹が折れてぶら下がっている状態です。ちょっと話がそれますが、秋にたくさん落ちるドングリって、いずれは全部が大きな樹まで成長すると思いますか?実は、ほとんどのドングリが、芽生えてしばらくで枯れてしまいます。その原因は、ドングリが根付いた場所に、すでに生えている大きな樹が太陽光をさえぎってしまうから。でも写真のように、雪で枝や、時には木が根元から折れてしまうと、その場所には光が入るので、新しい木が成長できるわけです。雪は林の若返りにも一役買っています。