人の暮らしの横で命をつなぐ生き物たち

今日は週末のお客様をご案内する準備&冬に向けての水路整備。水路周りの草を刈って、水路に落ちてしまった草はつまりの原因になるのでレーキで引き上げて掃除する作業です。作業途中で生き物に出会うと、どうしても気になってしまい、手を止めてしまいます…。だから時間がかかるんですよねぇ。



よく出会ったのはこのチョウとカエル。

チョウの方は、オオウラギンスジヒョウモンという種類で、これはメスですね。よく見ると翅がボロボロです。この間、台風もあったし、頑張って生きてきた勲章です。お尻の先を曲げているのが分かりますか?田んぼ周りによく生えているニョイスミレに産卵しているところです。最後の力を振り絞って、次の世代に命をつないでいます。

そしてカエルの方はヤマアカガエル。春一番に田んぼや湿地で卵を産むカエルですが、繁殖期以外は林の中など水辺から離れた場所で生活します。そしてこの時期にになると、水辺に集まってきて冬眠し、来春の産卵シーズンを待ちます。



そして、この時期の楽しみの一つがこのトンボ。キトンボと言います。関東周辺を中心に絶滅が心配されている貴重なトンボで、県内でも数が減っているとのこと。でも、やまさぁーべの田んぼでは、年々数が増えています。赤とんぼ(アカネ属)の仲間ですが、翅が黄色~オレンジ色をしていて、晴れた日に飛ぶ様子を少し離れた場所から見ると、金色のトンボが飛んでいるように見えます。とても美しい種類です。


その産卵の様子は少し変わっています。トンボの仲間は、水上を飛びながらパラパラと卵を撒く種類から、水際の植物に産み付けるもの、水面をお尻で叩きながら産み落とすもの…など産卵のスタイルにバラエティがあります。

下の動画前半に登場するトンボは、やはり赤とんぼの仲間でマユタテアカネといいます。この種類は、水際の泥を叩くようにして産卵しています。一方、後半に登場するキトンボは、水面と水際の泥をリズミカルに交互に叩いて産卵します。このキトンボのスタイルは、他のトンボではあまり見られない行動のようです。

やまさぁーべでは、こういう生き物たちに増えてもらいたくて田んぼをやっています。だから、草刈にしても、水路の掃除一つにしても、相当気を使って作業しています。ここの草はあえて刈り残そう…とか、水路から上げた泥はしばらく水路のすぐそばに置いておく(泥と一緒に上げてしまった生き物が水路に脱出する時間をつくるため)…とか、ホタルがさなぎになる時期には水路脇の土は削らないとか、もちろん除草剤や殺虫剤を使わないとか。

ともすると、管理を怠っているようにも見えるのですが、実は意味があってやっていたりします。

と、いうのが建前で、ホントは追いついていない作業もあることは…ナイショです(笑)

ライター:佐々木