壁で見つけた地味な生きもの

今日は一日事務仕事に追われて外をあまり歩けなかった…。会議が終わって懐中電灯を片手に外を歩いてみるとあんまり寒くない。季節が進みましたね。今日は、普通はあまり目を向けられることのない地味めな生きものをご紹介。

まずはガです。翅の長さが1cmちょいぐらいの小さなガ。街灯の下の壁にくっついていました。クロテンフユシャクという種類です。取り立てて特徴も少ない昆虫ですが、この仲間は意外と面白い。“シャクトリムシ”というイモムシは有名ですね。これはシャクガとうガの仲間の幼虫を指した総称です。そしてそのシャクガの中で、真冬に成虫になる変わり者たちがいます。それがフユシャクという仲間です。体液が不凍液になっているので氷点下でも凍ることなく活動できます。オスメスとも、成虫には口がないことが多く、水も食料も摂らずに繁殖のためだけに活動します。しかも、メスには翅すらありません。枝先などにとまってフェロモンを飛ばし、飛んでくるオスと交尾して子孫を残します。この写真の個体は翅があるのでオスですね。生きものって本当にいろいろです。

つぎに見つけたのは壁のコンクリートにあつまるオカダンゴムシ(写真左)とホソワラジムシ(写真右)。よく似ていますが、ダンゴムシの方は丸みを帯びた体型をしているのに対し、ワラジムシの方は少し扁平です。ダンゴムシは危険を感じると丸まりますが、ワラジムシは丸まりません。足が速いのはワラジムシの方。いろいろ違いがあります。ちょっと意外な共通点は、どちらもコンクリートが好きなこと。なぜか?彼らはカニやエビと同じ甲殻類で、カルシウムが主成分の固い外骨格に体が包まれています。実は、コンクリートを食べて、カルシウムを補給しに来ているのです。食べるといってもごく少量。それで壁に穴が開くようなことは起こりませんので、ご安心を♪