和 名 :ドジョウ
学 名 : Misgurnus anguillicaudatus
寿 命 : 野生では3~5年、飼育では最長10年
性 別 : オス
体 長 : 13㎝(発見時)
年 齢 : 生後2~3年以上
発見日時 : 2021年4月22日 16:00頃
発見場所 : 大江町柳川(やまさぁーべ田んぼの水路)
発 見 者 : やまさぁーべスタッフ(吉橋敦)
やまさぁーべが活動する田んぼの水路で非常に珍しい金色のドジョウが発見されました。
太陽光下で観察すると、より強く金属光沢が見られます。
これは、アルビノと呼ばれる、黒い色素がなくなった突然変異です。
よく見ると、目は赤い色をしています。目の黒い色素もないので、血液の色が透けてこのような色をしています。
同じように色の変わったドジョウで「ヒドジョウ」と呼ばれるものがありますが、これは目の色は黒をしていて、今回発見されたアルビノとは区別されます。
生まれて2~3年はたっている成魚です。
普通のドジョウが黒っぽい色をしているのは、泥に似せたカモフラージュで天敵となる大きな魚や鳥から身を守るためです。
ところが、このような色をしていると、天敵に見つかりやすくなり、生き残る確率は下がります。
色変わりの生き物が販売・飼育されていることはよくありますが、野生下で、ここまで大きく成長した個体が見つかることは極めて珍しい現象だと考えられます。
地域の歴史に詳しい、大江町観光ボランティアガイドの会の会長石川さんによると「町内の中ノ畑では、かつて赤ドジョウと呼ばれる珍しい色をしたドジョウがよく捕れ、昭和の初期に天皇陛下に献上したと聞いたことがある」というお話でした。
このドジョウの色を“金”と表現するか“赤”と表現するか、それは人によって意見が分かれるところだと思いますが、おそらく同じものだと思われます。
一般に、アルビノが生じる原因は大きく2つのパターンがあります。
①卵が受精して発生する初期の段階で何らかの原因により遺伝子のコピーミスが起こり特定の色素を作れなくなる。
②親のいずれか、または両方がアルビノになる遺伝子を持っていて、それが子供にも引き継がれる。
※アルビノ遺伝子を持っていても親がアルビノであったとは限らない。兄妹についても同様。普通の色であった可能性の方が高い。
①のパターンは②のパターンに比べればかなり頻度の低い現象です。
石川さんから聞く“赤ドジョウ”の話と合わせて考えると、おそらく中ノ畑や、今回見つかった柳川を含む七軒地区には、アルビノ遺伝子を持ったドジョウが高頻度で含まれていて、それが今回たまたま表現し、運よく生き残ったもの(つまり②が有力)と考えるのが自然でしょう。
やまさぁーべでは、地域にもともとすんでいた野生の生き物たちのすみかを再生するために、休耕田に水を張り、農薬や化学肥料を使わない米作りをしています。
田んぼを始めて5年間、ホタルやカエルの仲間などがとても増えましたが、ドジョウの数も驚くほど増えました。
分母が増えたために、このような珍しいドジョウが見つかる確率が高くなったものと考えています。